兆候を見逃さない

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悪化するのはあっという間

母は2016年2月から2018年5月までの約2年間で、延べ11回の入院をしました。心臓の大動脈弁狭窄症に始まり、尿路感染症、大腿部骨折、肺炎が3回、インフルエンザが2回に食中毒……。

母も大変だったと思いますが、私も体力と気力を使い果たした2年でした。このときは介護というより、母に次々と押し寄せる病気に翻弄され、ひたすら病院と家を往復している日々だったという印象です。本当に病院漬けの毎日でした。

とくに初期のころの私は高齢者の病気にうとく初心者だったので、母のちょっとした症状について深刻なものなのか、そうでもないのかといった見分けや判断ができません。

2016年9月に尿路感染症になったときがその最たるもので、感染症の恐ろしさを知りませんでしたし、知識もほとんどありませんでした。

尿路感染症になる4カ月前、心臓の大手術が無事に成功して退院でき、私自身大きな気持ちになっていたというのもあったと思います。

これでもう大丈夫。これから母の状態は右肩上がりでどんどんよくなるばかり。そんな今から思えばなんともバカげた予測をしていたのです。

ある日、37度強の熱が出て、ちょっと調子が悪そう。でも、もう悪いところもなくなったんだし、そのうち治るだろう。

こんな浅はかな見立てをしていました。

それが一向によくならない。5日後くらいに気づいたときには熱が39度近くになり、呼吸するのもやっとというような状況になってしまいました。

2017年に一度目の肺炎になったときも息苦しそうにしていましたが、様子を見すぎたきらいはありました。

悪化するのは、本当にあっという間です。昨日までそれほどでもなかったのにというのは通用しません。

そんなことを何度か経験して、今ではちょっとした熱でも、ちょっとした呼吸の変化も見逃さなくなりました。見逃さなくなったというより、おかしいと思ったら即救急車を呼んで救急外来に連れて行き、大事に至る前に対処できるようになったのです。

挿管を覚悟したことも……

夜中の1時過ぎに救急車を呼んだのは二度や三度ではありません。

ありがたいことに大腿部骨折で手術を受けて以来お世話になっている病院の救急外来で、

「ちょっとでもおかしいと思ったら、いつでもすぐに連れてきてくださいね」と言っていただいているので、本当に心強いです。

なんでもなかったらそれでいいわけですから。

救急搬送した際にはCTなどの検査をするのにそれなりに時間がかかります。めでたく異常なしで帰宅できることになっても、そこから介護タクシーをスマホで検索し連絡してきてもらうと、自宅に着くのは早朝5時6時です。

母は車椅子なので、普通のタクシーに乗れません。夜中も搬送してくれる介護タクシーは少ないので、検索して探すだけでも一苦労です。

こちらも夜中に病院の長椅子にずっと座って待っているだけで疲れるのはやまやまですが、これまでの経験からちょっとの時間の遅れが命取りになりかねないので、疲れなどで音を上げてはいられません。

2018年にやはり肺炎で運ばれたとき、

「挿管を覚悟してください」

と言われ、血の気がすーっと引いたこともありました。

幸い挿管は免れ、母は今もこうして頑張ってくれているわけです。

おかしいと思ったら、即救急車を

だから、介護者の人は救急車を呼ぶのを絶対にためらわないでほしいと声を大にして言いたいです。

たとえ夜中の3時でも、おかしいと思ったら即救急車。これが命を左右するポイントになると思います。

おとといから母は腰が痛いといって、ベッド上で起き上がり座ることができません。

今までになかったことです。

黙って寝ていればなんでもないのですが、座位を取ろうとすると激痛が走るようです。

訪問診療をしてくださっているかかりつけ医に診てもらったところ、結石ができている可能性があるとのことでした。

それでもCTを撮ったわけではないし、はっきりしたことはわかりません。あくまで先生の診立てです。

これが何の兆候なのか。腰の痛みというのは、内臓疾患からきていることもあるので、腎臓の機能が下がり、結石ができたのでしょうか。

または高齢者によくある「いつの間にか骨折」をしている可能性もあります。

これまで熱が出る、息苦しそう、ヒューヒュー喘鳴がする。このいずれかが母の何らかの体の異常からくるサインでした。

母は11回の入院を経て、2018年5月からなんとか入院しない生活を送ってこられています。

母にとっても私にとっても、入院は大変つらく厳しいものです。ましてやこのコロナ禍ですから、絶対に入院は避けたい。

今回兆候というより腰が痛いというはっきりした症状があるのに、どう対処していいかわからない初めてのパターンにとまどっています。

今は母の痛みが一日も早く収まるように祈るしかありません。

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