半年ぶりのショートステイ

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ショートステイは在宅介護の命綱

母が昨年10月に腰の圧迫骨折をしてから、半年ぶりにショートステイに行かせることができました。

5年にわたるワンオペ介護中、母が家に半年ずっといたことはありません。

最初の2年は入院を繰り返していたし、入院しなくなってからは月1回7日間のショートステイに行かせていたからです。

2018年5月から約3年、母は入院せずにいられていますが、それまで11回も入院を繰り返していました。

大腿骨の骨折をしたときは、手術した病院とリハビリ病院に合わせて5カ月近くも入院しました。

2018年5月からは必ず月に一度1週間ショートステイに行ってもらい、私はその間休息を取り、なんとか在宅で介護を続けてこられたのです。

これも何度もこちらに書いていることで、在宅介護にはショートステイが欠かせないと断言します。

介護者にとって、このショートステイで休息をとることが介護を続けていくうえで絶対に必要です。ショートステイがなければ私は在宅介護をここまで続けられませんでした。

その在宅介護の命綱のようなショートステイが半年できなかったことは、5年間の介護を振り返っても相当厳しい出来事だったといえます。

半年行かせなかった結果、ほぼうつ状態に

母は昨年10月に圧迫骨折をして、寝返りすら打てない状態が2週間続きました。

毎日2時間置きに様子を見にいき、私も睡眠がろくにとれず、これほど寝られない時期はなかったです。

でも、これで母が寝たきりになってしまうかもしれないという恐ろしさと心配と不安で神経が張り詰めていたからか、疲れはほぼ感じませんでした。

そのときは無我夢中だったからだと思います。その日その日を精一杯ただ介護していました。

母は12月に入るころには一人で介護ベッドの横にあるポータブルトイレに行け、ご飯も食べられるようになり、これで一安心というところまで回復しました。

幸い、デイサービス先とショートステイ先でコロナ感染者は出ていなかったので、年を越した1月にはデイサービスに週1回行けるようになりました。

ショートステイにも行かせようか悩みましたが、宿泊させるのはまだちょっと躊躇しました。

1月8日には再び緊急事態宣言が出され、結局通常インフルエンザが最もはやる2月までショートステイはやめておこうと断念したのです。母の体調はもちろん、やはりコロナが心配でした。

と、断念するのは簡単ですがこの行かさなかった1月、2月、この2カ月が本当にきつかった……。

母は元通りになるまで、痛みがひどいときは明らかにつらそうでしたし、私も介護に必死で、何も考えている余裕などありませんでした。

それが元通りになると大変うれしく喜ばしいには違いないものの、よく話せるようになったぶん、また認知症独特の全く意味が通じず脈絡のない言葉の多発が始まり、それがボディブローのようにきいてきました。

日がたつにつれストレスがひどくなり、頭痛は起こるわ、寝られないわで参ってしまったのです。

これまでストレスで参ったころにはショートステイに行かせられていたのに。これまで月に一度行かせていたなんてとても信じられない。

こんなに指折り数えて行かせる日を待ち望んだことはありませんでした。

最後のほうは、もうほとんど思考停止といいますか、喜怒哀楽も感じないというか、痛点がないというか、自分の気持ちがどこにあるのか感じることもできないレベルになっていたような気がします。

こういう状態が続くと、うつになるんだろうな──とぼんやり思いました。

自分の時間をひたすら取られるのが介護

そして、半年ぶりに行かせて、やはり本当にありがたい。

心の底からありがたいと感じました。

こんなに解放感を感じたのは久しぶりで、この半年で一番うれしいことだといっても、おおげさではありません。

本当にものすごくストレスがたまっていたんだ。

それが骨身にしみるほどよくわかりました。

そして、行かせたとたん、

「本当にすることがない」のです。

介護とは現実的に悲しいかな、「ひたすら自分の時間を取られる」
この一言につきます。

母の世話がないと、私の今の生活においては何もすることがないのです。

母が家にいるときはすることが毎日山のようにあります。時間に追われ、やることに追われ、あれを買わないと、これがなくなった、あれを注文しないとと、いつも何かにずっと追われている感覚です。

もう一つの命綱にヘルパーさんがいてくれます。けれども、やはり一日じゅう他人が何度も家に出入りする状態では、心からくつろぐことはできないのです。

母がいれば、やることだらけ。精神の休息がない。

母がいなけれれば、やることは何もない。解放だけがあります。

その事実に愕然としますが、それが介護の現実です。

半年ぶりのショートステイで、改めてショートステイのありがたさがわかりました。

やはりなんでもそれまで普通だったことが普通でなくなったときに、ありがたみを感じる。

これは介護で何度も味わう人生の法則みたいなものです。

1カ月に一度行ってくれさえすれば、私はどこまでも介護ができるような気もします。あくまで「気もする」ですが……。

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