初めてショートステイに行かなかった日のこと

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ショートステイのない在宅介護は不可能

母をショートステイに送り出す日は毎回ドキドキします。

詰まるところ行かせる側としては、

「すんなり行ってほしい」

それだけなのです。

母には月に1回7日間、特養のショートステイに行ってもらっています。

ショートステイは在宅介護をする家族にとって、大変重要なレスパイト(休息)です。ここで休息をとるからなんとか在宅介護を続けていける。

逆にショートステイがなければ、在宅介護を長く続けるのは不可能だと断言していいと思います。

母はデイサービス同様、ショートステイも送り出し(お迎えも)はヘルパーさんにお願いしています。

送り出しに私がかかわると母をいろいろな意味で刺激するし、私もストレスを非常に感じてしまうからです。

私の気持ちとしては、ただ行ってくれさえすればいい。おおげさでなく毎回祈るような気持ちでいます。

ヘルパーさんの必死の説得も虚しく……

ヘルパーさんも母を送り出すために、毎回あの手この手を尽くしてくださり、頭が下がる思いです。

例えばある月は、

「今日はデイサービスに行って麻雀しましょうねーー」(母は要支援でまだ歩けたときからデイサービスを利用し、麻雀をするのが楽しみでした)

と声をかけてくれます。

デイサービスに行くのはもちろん嘘ですが、そうやって説得して連れ出してくれるのです。

機嫌がいいときはすんなり行ってくれることもありますが、機嫌が悪かったり気が進まなかったりするとこれがなかなか難しい。

「今日はずっと寝てたいの。どこにも行かない」

こんな声がリビングから聞こえてくると、一気に私の心は曇ってきます。

「具合が悪いから動けない」

と言うこともあり、そんなときヘルパーさんは、

「じゃあ、病院に行って診てもらいましょう」

などと誘導してくれ、それで行けたこともありました。

要は車椅子に乗り、玄関を出てくれさえすれば、私のお役は1週間御免になるのです。ただ、そこまで到達するのがなかなかの難関なわけで……。

この日はヘルパーさんが何を言っても、どんな方向から手を尽くしてくれてもダメでした。

「今日はダメそうですね」

わめき叫んで拒否し、しまいにヘルパーさんにつかみかかるような態度も取っていたようです。

介護タクシーでいつも送り迎えをしてくださっている方が家に上がって、1時間以上ヘルパーさんと二人がかりで説得しても全くダメ。施設とも相談し、明日に延期ということになったのです。

(このあと介護タクシーのキャンセル料と1時間の待機料が合わせて7500円ほどになり、いったい何のための料金だったのかと大変虚しくなりました。実現できなかったことにかかる費用。これほど意味のない出費はありません)

送り出して、3日寝込む

2017年12月からショートステイを利用しだして、これまで行けないことが1度もなかったのは、とてもラッキーだったということでしょう。

しかしながら、行けなかったことのショックで私のストレスは限界に達し、翌日母を送り出したときには疲れがどっと出て、3日ほど寝込んでしまいました。

送り出す当日まで頑張れば、少しの間自由になれる。毎月その日を目標にして生きているといっても過言ではありません。

出かける前には着替えや持ち物、持参させる薬などを準備もします。準備を終え、あとは行ってくれるのを待つばかり……。

それで行ってくれないとなったときの落胆がこれほどまでとは自分でも驚きでしたし、いかに介護者にとってショートステイが重要かの証だと改めて思い知らされました。

誰が悪いわけでもない介護の問題。

ただ流れに身を任せて、大波がきたときにはあっけなく飲まれて溺れそうになり、もがいてもがいてやっと浮上する。そんなことを繰り返している気がします。

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