ワンオペ在宅介護を続けられる2つの理由
新型コロナウイルスの影響で、3月末から本格的な自粛生活を余儀なくされた2020年。
夏は梅雨が例年になく長引き、梅雨が明けたのは8月になってからでした。
そして、梅雨が明けたと思ったら35度を超える猛暑日が続き、外に出る気もしない。コロナと併せて家にこもる日々が続きました。
私はほとんど仕事らしい仕事もせず、介護に専念していました。
私がここまでワンオペで在宅介護を続けていられる一番の理由は、なんといっても巡回型の訪問ヘルパーさん方のおかげです。
もう一つはショートステイの利用。
続けられる理由はこの二つに尽きます。
どちらが欠けてもここまで続けることは不可能でした。
ショートステイに行かせるまで、迎えるまでの準備にも手間はかかる
母にショートステイに行ってもらうようになったのは、2017年12月からです。
自宅の最寄り駅の3つ先の駅から徒歩数分にある特養(特別養護老人ホーム)のショートステイに行けるようになったのは、大変ラッキーなことでした。
利用のペースは、最初の1年半は10日おきに行ってもらっていましたが、介護にかかる費用がどんどんかさんだので、少しでも費用を抑えるため月に1週間に変更しました。
2年くらいは送り迎えに家族の同伴が必要だと施設から言われ、行きは介護タクシーに同乗し送り届け、帰りは私は施設まで電車で行き、母と介護タクシーに一緒に乗って自宅へ帰るようにしていました。
この同伴の送り迎えが私にとって物理的にも精神的にも大変な負担であり、苦痛でした。
送り迎え自体は往復1時間程度ですむのですが、その前日から当日の朝にかけて、準備に時間と手間がかかります。
送りなら、あらかじめ薬局で袋に小分けされた薬にすべて、氏名と日付、朝・夜・就寝前のいつ飲むかを書き込まなければなりません。
そして、パジャマや下着、タオル、靴下、洗面道具、毎週買っている女性週刊誌を3冊、鏡、ブラシ、ティッシュにメガネ……これらをキャリーケースに用意。
前日には送り出しのヘルパーさんの事業所に時間の確認の電話を入れます。
これはときどきケアマネさんのミスで時間を間違うことがあるので、万一のために(その後、ミスが続くのでケアマネを変更しました)。
時間を間違えられてしまうと、介護タクシーを運転してもらう方にも迷惑をかけ、連携がうまくいかないことでこちらもそれがストレスになります。
当日を迎え、当人がすんなり出かけてくれればいいですが、拒否があったりぐずったりして必ずしもスムーズにいくわけではなく、送りだしたときにはもうぐったりということがほとんどです。
家に迎えるときは当日の朝までに、介護ベッドに敷きパッドと掛け布団を洗濯してセッティング。
ポータブルトイレはハイターで除菌して掃除。大量にたまった陰部を拭く専用タオルを洗濯しておくなど……。
このように、ひとたびショートステイに行かせてしまえば、帰ってくるまで大手を振って自由を満喫していられるというわけではなく、行かせる前日と帰ってくる当日までにすることがけっこうあり、。
大変なストレスだったショートステイ先への同行
また、施設まで介護タクシーで同行する大変さとして、母が車内で叫んだり、わめいたりするのが非常にこたえました。
「いったいどこへ連れていくんだー!」
「降ろせーー!」
「どこにも行きたくないーー!」
「おまえは親を捨てるのかーー!」
こんな具合にわめき散らすのです。
私は嫌がる母を無理やりどこかへ連れていく極悪人。親を捨てるひどい娘。
このとき母のワールドでは、私はそういう人間になっているようです。
だからといって、月に一度は母から離れないと、自分がもたないのは明白です。いくら叫ばれても、わめかれても、聞き流して母を送り届けるしかありません。
ショートステイを利用しだして2年以上たったころ、私は平日の午後だけ外へ出て会社勤めをすることになり、送り迎えが物理的にできなくなりました。
そのころには施設との信頼関係もできていたので、行きはヘルパーさんに介護タクシーに乗せるところまで介助していただき、運転手さんに施設まで送ってもらう。
帰りは介護タクシーの運転手さんに自宅前まで送ってもらい、ヘルパーさんに家の中まで連れてきていただくというスタイルに変更してもらえるようなりました。
できるだけ人に任せられることは任せ、省けることは省く。
もう少し早い段階でこの同行を省略できればよかったですが、ワンオペ介護でうまくやっていくための鉄則をようやくここで実現できました。
これで私の大変なストレスだった役割が一つ減り、心底助かる思いがしました。