介護でアクシデントが起こるある日のケース

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小さなサインを見逃さない

介護にはアクシデントがつきものです。

日常、介護を送るなかでどんなふうにアクシデントが起こるか、ある日の例をご紹介します。

朝7時ごろ、1日の始まりに定期巡回のヘルパーさんが入ってくれます(1日に5回入ってくれます)。

そこで、私がつくり冷蔵庫に常備しているゆで卵と買い置きのヨーグルトを朝食として出してもらい、服薬をしてもらいます。

その際、失禁などがあれば、適宜オムツとパジャマ、防水シートの交換もしてくれます。

朝9~10時ごろ、このタイミングで初めて母の様子を見に行きます。そこで、お腹がすいたと言えばりんごなどの果物を食べさせ、常に小分けにして冷凍してあるおかゆをチンして、ネギを入れ、塩、白だし、しょうゆで味付けし卵でとじ、梅干し、海苔の佃煮、しらす干しをトッピングしたものを食べさせます。

お水を介護ベッドのサイドレール(本人が落ちるのを防止する柵)にひっかけたプラスチックのかごの中に常備し、勧めることも欠かせません。

この日は7時の時点で尿失禁があり、食事をさせたあと、ヘルパーさんが替えてくれていたパジャマや防水シーツを洗濯しました。

夏はさほど心配いらないのですが、冬場は長時間尿で漏れたままのオムツをしていると体が冷えるのでよくありません。

パジャマがぬれていないかは、いつも気にするところです。

母は夏掛けのごく薄くて軽い布団でも自分で掛け直すことができません。

気づかないとあっという間に風邪を引く原因になるので、夜中に布団をきちんとかけて寝ているかも、重要なチェック事項です。

そしてお昼過ぎにまた様子を見に行きます。

おかゆを出しておけば、たいていお昼すぎにはたいらげています。

母は介護ベッドから約80cmのところにある食卓の椅子まで移動はできます。

80cm以内の範囲に介護ベッド、その脇にポータブルトイレ、その前に食卓があり、その3点を移動するのが母の日常生活で、生活範囲です。

この日は、少し苦しそうで、咳もしていたので、こういうときは大変警戒します。母はこれまで肺炎で3回入院していますし、咳は肺炎のサインであることが多いからです。今はコロナ禍ですから、ますます注意が必要です。

コンコンという空咳でないかをとくに注意して見るようにしています。

寒がるのも一つのサイン

私自身の朝昼兼用の食事は、12時から14時までに適当にすませます。

家にいるときは15時ごろ、また様子を見に行きます。このときは果物か小豆を使った和菓子、小分けになったおせんべいなどをあげることが多いです。

水分は水と100%のりんごジュースを常備して、ヘルパーさんたちにも勧めるようにお願いしています。プラス日本茶、紅茶。母が飲みたいと言うものも適宜飲ませて、とにかく水分を取らせます。脱水も高齢者には命にかかわる問題ですので。

このとき咳はとまっていたので一安心でした。

●17時、この日は34度を超える暑さにもかかわらず「寒い」と言い出したので、もう1枚薄い掛け布団と毛布も足して、様子を見ることにしました。

●18時、ヘルパーさんが入ってくれ、宅配の冷凍おかずと小分けして冷凍してある手作りの炊き込みご飯をチンして出して、服薬をしてくれます(ポータブルトイレの処理も常にしてくれます)。

●18時半、熱を測ると38度7分もあり、すぐかかりつけ医に連絡を取りました。症状を伝えると、感染症の疑いがあるので、抗生剤を出してくれるとのこと。

処方箋を出してくれれば、薬局からいつも自宅まで薬を配達してくれる手はずになっているので19時には薬が届きました。コロナではないかと思うと、気が気ではありません。

すぐ母に飲ませます。かかりつけ医と薬局の連携で薬を自宅まで配達してくれるのは、本当にありがたいです。

母に薬を飲ませ、自分の夕食を買いに近所まで出かけます。

介護している側も食べることだけが楽しみに

介護に時間をとられ、自分のことはなにもかも後回しになるのが介護の常ですが、とても危険です。しっかり意識して食べることくらいは大事にしないと、体力も気力も持ちません。

ただ、そんなことを言うまでもなく、長く介護を続けていると、食べることだけが楽しみになるようなところはあります。

かといって、外食もままらないコロナ禍ですし、遠出する時間も暇もないしで、たいしたものは食べられません。それでもそのとき食べたいものを食べるのがなによりの息抜きで、楽しみになるのは確かです。

私は食関係の仕事もよくしていて、食べること、食べ物に合わせてお酒を楽しむのがほとんど趣味で、介護をしていてもそれだけは大事にしています。

といってもたいしたものは食べていません。自分でつくる気はとても起こらず、近所のチェーン店の中華や松屋、餃子の王将、回転寿司、スーパーのお総菜、居酒屋……。このあたりをぐるぐるローテーションしています。

息抜きをしたいときは店内で食べ、時間がないときは持ち帰って家で食べるというように使い分けています。

自分でつくることはせいぜい月に何度かで、疲れ切ったときや時間がないときはUber Eatsも利用します。

それと、お酒を飲んでなんとか自分の精神を保っているようなところも多々あります。

飲みすぎてしまうこともよくありますが、1日グラス2杯くらいのお酒は神経をリラックスさせるのに、いい効用があるような気がします。

といえば聞こえはいいですが、まあ飲まなきゃやってられないってやつです。

とにかく早く気づいて対処を

この日は大急ぎで自分の食べたいものと、母が食べたがっているお刺し身をスーパーで買い、帰宅。

熱を測ると、まだ38度近くありました。

ここからは水分をとらせて、2時間おきくらいに様子を見に行くという時間が続きます。

深夜1時、3時、朝5時、ずっと様子を見にいき、ようやく寝る──。

1日が終わる区切りがありません。

私は4年半以上の介護経験で、「これはいつもと違う」「なにかおかしい」という勘どころがわかるようになりました。

これも経験のたまものです。

朝9時になると、母の体温は37度くらいに下がっていました。このくらいの体温になればひと安心です。

かかりつけの医師によると、とにかく「早く気づいて対処する」のが何より大事なのだそうです。

至極当たり前ですが、どうしても人は体調というものに対し、「まあ、大丈夫だろう」というバイアスをかけてしまうものです。

まだ介護経験の浅かった2017年、母の発するサインに気づかず、尿路感染症をだいぶ悪化させてから病院に搬送したことは私の大きな心残りとなっています。

その経験があったから、早めに対応することができるようになったといえばそうです。とにかく早めの対応に勝るものはありません。

こうしたアクシデントを何度も乗り越えて現在に至るわけですが、アクシデントが起こった日は、ほとんど寝られず付きっきりになります。

ほっとした翌日は自分がほとんど使いものにならないのもまた現実です。

すぐにおかしいと思ったら、救急車で救急外来のある病院にすぐに連れていくこと。

このことを知って心がけておくだけでも、ずいぶん違うと思います。

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