介護者が介護にかかわる時間を減らすために
今日は私が一介護者として介護をしてくださる方々への提案をしたいと思います。
介護者は少しでも自分が直接介護にかかわる時間を減らすように工夫するべきです。
介護にかかる時間は本当に細切れで、1回1回は短い時間でも、ちりも積もれば山となります。
それが介護者の肉体と精神を疲れさせていくのです。
少しでも時間があるなら横になる。お風呂をわかして湯舟に入る。好きな音楽を聴く……。
そうやって少しでも自分のために時間を使い、自分をいたわらなくては、遅かれ早かれ体と心は悲鳴を上げます。
自分が倒れてしまったら、ワンオペ在宅介護はおしまいです。
私は介護だけでなく仕事もしていますが、仕事の連絡より介護でしなければならない連絡のほうがはるかに多い印象を持ちます。とにかく連絡、連絡の連続です。
主な連絡先は、ケアマネさん、訪問ヘルパーの事業所(母は2カ所の事業所にお世話になっています)、かかりつけの訪問医、訪問看護師、ショートステイ先、デイサービス先、薬局、介護タクシー、訪問美容、介護用品の事業所、おむつの事業所、宅配弁当業者(これはインターネット注文です)……。
常にこれらの人たちから連絡がある、あるいは連絡する必要があります。
介護関係者は基本的に電話で連絡をしてきます。
急を要することが多いからそれは当たり前ですし、とくに疑わず私もずっと電話に出て対応していました。
でも、ある出来事がきっかけで、その慣れに対し疑問を持ったのです。
どうしていちいち電話で連絡してくるの?
その人は家に介護用品を持ってきたり、設置したりする事業所の営業マンです。
介護用品を納めて何週間かたち、私の携帯電話に連絡がきました。そのとき気づかなかったので、かけ直したところ……、
「こちらで取り付けた用具の具合はいかがですか?」とその人は言います。
「え?」
私は言葉に詰まりました。
もし不具合があれば、こちらから連絡するし、何もないから連絡していない。どうしてそんなことでいちいち連絡してくるの?
営業マンは営業マンとしての職務やアフターサービスの一環として連絡してきたのでしょうが、介護者の立場からするとそれは全くありがたくありません。
介護者はなるべくなら介護と関係ない、介護から離れた時間を一日のなかでできるだけ多く持ちたいものだと思います。
かかわらなくていいなら、かかわらない時間を少しでも過ごしたい。介護について少しでも考える時間を減らしたい。それが本音です。
介護者にとっては、こうした行為によって自分の時間や意識が介護に引き戻されます。決して気にしてくれたと感謝することではないと思うのです。
ですから、介護にかかわる方たちは介護者の気持ちを考えて、もっとメールを活用してほしい。
これは声を大にして言いたいです。
メールですむ用件はメールですまそう
もちろん急を要することが多い介護ですから、電話が一番早いのは当然です。
けれど、メール1本ですむような用件もたくさんあります。
日程調整などは記録も残って間違うこともないので、むしろメールのほうがいいです。メールでやりとりすれば、自分の都合のいいときに読めるし、送れて返せる。
ただでさえ精神的にも物理的にも余裕の少ない介護者に、急でない用件で電話をするのは、介護者のことを考えていないし、それはサービスではないと思うのです。
私はその一件で考えさせられてから、介護にかかわってくださる人でメールで連絡が取れるようなら、なるべくメールで用件をすますようになり、実際、ストレスが減った気がします。
とっくに世の中はデジタル社会です。仕事で電話をかける頻度は本当に少なくなりました。よほど込み入った内容でなければ電話はしません。
プライベートでだって、いきなり人に電話をかけるのは相手の時間を奪う行為だという考えを持つ人も多くなってきました。全く同感です。
介護は特殊な環境ではありますが、急用・緊急以外、メールでの連絡がもっと増えてほしいですし、そうする意味があると思います。
在宅介護は一人で到底できるわけはなく、介護にかかわってくださる方々には感謝しかありません。
ただ、もう少し介護者のことも配慮してくれたらと。
介護者を少しでも休ませる時間を、介護のことを考えなくてすむ時間をつくることに協力してほしいです。