「もうお年ですから」にだまされないで

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専門のクリニックで素人のような診断

2016年2月、母が心臓が原因で倒れたときの驚きは今でもはっきり覚えています。

母はもともとぜんそく持ちで、その年の年明けくらいから体調がすぐれなさそうでした。

近所のお友だちの家で趣味の麻雀をして帰ってくるときも、遊歩道のベンチで休み休みでつらかったと言っていたので、おかしいなとは思っていました。

そもそも、もとをただせば、母の足がむくみだしたのが最たる兆候でした。

両足の足首から足先までがまるで象の足のようにむくんでいたのです。

私も父も家族で20年以上かかりつけにしていた地元民なら誰もが通う、いわゆる「繁盛している」クリニックで、そのむくみは問題にされませんでした。

それで、都心にあるむくみ専門のクリニックに行って診察を受けたのですが、そこで医者から言われたことを私は決して忘れません。

「お年ですから。足もむくみますよ」

正確ではないかもしれませんが、ニュアンスはそのようなものでした。

年をとれば、足がむくむこともある。

専門のクリニックでも、そんな素人のような診断しかできなかったんだと残念に思います。

学習するまで状況を甘くみてしまう

専門のクリニックでわからなかったら、どうすればいいのか。専門のクリニックでそんな診断を下されれば、「そんなものか」とこちらは思ってしまいます。

数々の修羅場をくぐった今では、総合的に診てもらえる大学病院や総合病院に行くべきだったんだとわかりますが、知識のない素人は、たいしたことはないという判断に寄っていってしまうものなのです。

さまざまな経験をすれば、否が応でも悪く疑ったり、万一のケースを考えたりするようになります。でも、それは何度か危険な目にあってようやく学習するのです。

学習するまで、人は状況や症状を甘くみてしまう。

一般的に人は地震について「自分だけは大丈夫バイアス」がかかりがちだといいますし、これは人間の習性として仕方がないのかもしれません。

母はそうこうしている間に、心臓の弁がどんどん硬くなっていき、あるとき限界を超え、ついに倒れてしまったわけです。

専門のクリニックを受診してから、2年後くらいのことだったと思います。

私は仕事先にいて、15時くらいに母のケアマネさんからの伝言が携帯の留守電に残っているのに気づきました。

ケアマネさんは2013年に前立腺がんで亡くなった父もお世話になった方です。

母は当時要支援2で、夫婦でお世話になっていました。母は自宅の階段から転げ落ちて大けがを負ったことがあり、その段階で要支援の認定を受けていました。

足が象のようにむくみ、かかりつけ医に聞いてもとくになんでもないとスルーされ、専門のクリニックに行っても、「お年ですから」ですまされてしまう。

大きな病院へ行って、心臓エコーの検査を受けていたら。CTやMRIを撮っていたら。
すぐに心臓の異常に気づけたはずで、まさに後悔先に立たずです。

取返しがつくうちに大きな病院で検査を

ですから、どうか医師からの

「もうお年ですから」の言葉を安易に信じないでください。
大いに疑ってください。

気づくのが早いほど、病気になった親も介護をする子どもも、みんなの負担が減ります。

取り返しがつくうちに、大いに疑い、すぐに大きな病院へ行って検査を受けることをお勧めします。

なんでもなければないで、それでいいのですから。

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